入試前のとある日の出来事から(2)

Learning(1)からつづく
そして、中1の正式な担当の先生の授業が始まります。
ところが、その時の数学の担当の先生がとんでもない講師だったのです。当時の同級生は、学校の先生がとんでもないので、塾で勉強しようと集まっていたものですから、塾でもとんでもない先生であることにかなりの戸惑いを覚えました。そして、私は、なぜかその時、2週間だけ教えていただいた「あの先生」に会おうと思ったのです。
事務室に行き、「あの先生」がいつ何時に教室に来るか尋ねました。すると、退職されたというのです。たぶん、私は茫然自失で立ち尽くしていたと思うのですが、事務の方がかわいそうに思ったのか、「あの先生」の連絡先を教えてくれました。家に帰った後、先生のお宅に電話をしました。すると、先生は「自宅に遊びにおいで」と言ってくださいました。正直、私はその先生が怖かったので、実は今でも怖いのですが、友人を誘って先生のお宅に行きました。たくさんのごちそうを用意してくださり、先生のアルバムなども見せてくださいましたが、食べものはノドを通らず、面白い昔話に笑うことができず、ただ友人と固まっていた記憶が今でも鮮明に残っております。
そして、今の私が存在することになる決定的なことが起こります。その先生が、私の家から数km離れたところに塾を開くというのです。それを聞き、私は、中2から入塾させて欲しいと頼んだのです。
その塾は、「開成教育セミナー」という塾で、マンションの1室でした。正式な開塾は夏休みからでしたので、私は、1人で誰もいないきれいな教室でただ黙々と自習をしておりました。隣の教務室では、大好きな先生が、開校の準備の仕事をされておられました。時折、質問に教務室を訪ねると、「ロゴマーク」や「チラシの原案」、「新しく開く塾の理念」やら教えてくれました。
開成教育セミナー」は、その年の夏期講習会からスタートしました。当時の生徒数は27名だったと記憶しております。私も無事、高校進学が決まり、あれよあれよという間に、教室数が増えました。そして、大学生になった時、当時の塾長であった太田明弘先生から「塾で教えてみないか」というお誘いを受けました。その一言が、今の私を決定したといっても過言ではないと思います。
当時から、尊敬してやまない太田明弘先生は、ジャスダック上場企業の成学社の代表取締役社長にして、偕星学園高等学校の理事長でもあります。今では、お目にかかっても、なかなかゆっくりと先生のお話を伺うことができないのですが、先生のお元気そうなお姿を拝見できるだけでも、私は幸せな気持ちになれます。もちろん、怖いのですが。

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入試前のとある日の出来事から(1)

Study入試が終わり、一段落が着きました。塾講師が休めるのは、子どもたちの進学先が決まった春くらいなもので、少し落ち着いて、新しい学年の子どもたちへの指導方法をもう少し練っていきたいなと思っております。
ところで、県立高校一般入試の前にこんな事がありました。
3月に入ると、学校の授業はお昼で終わるようで、受験生が昼から自習に来ておりました。私は仕事をし、受験生は黙々と何時間も自習をしております。このことが、ふと自分の中学生の時を思い起こさせたのです。
私が塾通いを始めたのは、小学6年生の頃です。当時はまだ、塾に通う子どもはさほど多くなかったと思います。と言いますのも、私自身「塾」という名前を知らず、母親に「予備校に通わせてください」とお願いし、母親から「予備校? あんた、何を言ってるの?」と言われたくらいでしたから。そんな名前も知らないような場所に、なぜ通おうと思ったかといいますと、小学5年生当時の担任が、授業中に寝る先生だったのです。1年間、ほとんど授業が行われず、毎日毎日、NHKの「小学5年生の講座」の映像を見せ続けられました。さほど、勉強が好きではなかった私でも、「これじゃあアカン」と思い、親に頼み込み、小6から塾通いを始めたのです。
その塾では、高校受験が終わった2週間ほどだけ、先生が替わるということが行われていました。そして、そのわずかな間に、とある先生に教えてもらうことになったのです。
強烈な先生でした。実は、その先生は、同級生たちの間では「怖い」先生で有名でした。そして、小6から中1の間のわずか2週間だけ、その先生が担当になると分かったときには、「僕たちはなんと、運の悪いことだろう」と、お互い顔を見合わせていたくらいです。
しかし、授業は全く違っていました。確かに厳しさはありました。しかし、その先生は、とてもウイットに富み、僕たちを大いに笑わせてくれ、そして大いに知的好奇心をかき立ててくれました。その先生が担当だと分かったときには、たいそう「ガックリ」きたのですが、逆に2週間後にはその先生でなくなることに、とても「ガックリ」きておりました。
(つづく)

 

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