小学校内容の学習が高校入試を左右する

Ecological cycle seminar先日、塾用の教材会社主催の高校入試分析会に参加してきました。

そこで、さまざまな情報が提示されたのですが、その中のひとつを紹介したいと思います。

とある県の高校入試問題で、毎年小学生算数内容の問題を出題し、どのくらい誤答があるか測定しています。

すると、2009年度「1/6+3/8÷7/8」という問題では誤答率は7.8%でした。この春おこなわれた2013年度「1/6+3/4÷5/2」という問題では、誤答率が15.9%あるのです。単純化すると、受験生の7人に1人以上は、この分数の四則混合の計算を間違えているのです。

この結果はどのように考えれば良いのでしょうか。

もちろん、単純な計算間違えの生徒もいるでしょう。しかし、それだけならば、同様に09年度もいたはずです。この子どもたちは、小学6年生あたりからゆとり教育から新指導要領への移行措置が始まっております。それだけ難しい内容を学習しているにもかかわらず、基本的な計算である分数の四則混合ができない生徒が7人に1人以上もいるのでしょうか。

その原因を明らかにするのは、大変難しいとは思いますが、1つには間違えなく、教科書が急激に難しくなってついていけない生徒が増えたことにあると思います。そして、難しいだけでなく、新たに学習する内容が増えているにもかかわらず、演習量が増えず、習ったときにはできたけれど、その後、忘れていったということがあるのではないでしょうか。

こうした分数の四則計算ができないということは、文字式が分数の形になったものは間違えなく解けないでしょうし、関数や方程式においても、分数が混じってくると解けない可能性が非常に高いと思われます。そういう子どもたちが7人に1人以上もいるということは大変なことに違いありません。

しかし、指導要領が新しくなり、量が増え、難易度が高くなったということは、逆にできる生徒が増えていることも間違いありません。

つまり、できる子どもはどんどんできるようになり、できない子どもはどんどんできなくなるという学力格差が大きくなっていると言えるのではないでしょうか。

小学生のうちから、塾に通わせるかどうかについては、ご家庭でも悩まれることだと思います。しかし、小学生内容の理解が怪しいようでは、間違いなく中学校のさらに難しい内容についていけるはずはありません。小学校での小テストが、毎回85点以上、できれば90点以上なら問題はないと思いますが、70点台以下であれば、今のうちに塾に入れておかれた方が、後々の月謝などを考えても、良いのではないかと思います。


高校生 英語学力テスト

いぜんの記事でも何度か書いているように、指導要領の改訂、つまりゆとり教育の終焉は、なにも小中学生だけではありません。高校においても、指導要領が改訂されました。2012年は先行実施、2013年から全面的に適用されます。
さて、高校の新指導要領でやはり関心の大きいのが、「英語」の授業であると思います。新指導要領では、「使える英語」を目的とし、日本語を使わずに「英語で授業を進めることが基本」と定められているからです。
こうした中、文部科学省は、来年からの「英語での授業」に向けて、現高3生に「英語学力試験」をおこなうようです。
この学力試験は、従来の「読む」「書く」「聞く」力以外に、試験官を前にして、英文を読んだり、イラストを見て英語で説明させる試験、つまり「話す力」も見るようです。
これで、生徒の現状を分析し、教員の指導力の向上につなげるということで、13年からの「英語での授業」の本格化が垣間見えます。

英語学力試験:全国の高3に実施へ 「話す力」も採点

毎日新聞 2012年06月12日

文部科学省は全国の高校218校の3年生を対象に、英語の学力試験を実施する。高校生を対象にした初の大規模な学力テストで、「読む」「書く」「聞く」力のほか、「話す力」も採点する。来年度から高校の英語の授業が原則英語で行われるようになるため、生徒のレベルを把握して教員の指導力の向上につなげるのが狙い。結果は今秋設置する有識者会議で分析し、今年度中に公表する予定。【石丸整】

対象は、文科省が今年度英語指導力を強化する拠点校に指定している110校と未指定の108校の3年生計約6万4000人で、全公立高校生の8.6%にあたる。今月下旬〜8月上旬、日本英語検定協会かベネッセコーポレーションが作成した試験を受ける。1人1000円の受験料は同省が負担する。

試験ではリスニングを含めた従来型のペーパーテストのほかに、10分程度のスピーキングテストを実施。各校40人以上の生徒1人に対し、試験官1〜2人が面接し、あいさつや「朝何を食べたか」など簡単な質問をした後、英文を音読させてアクセントや抑揚をテスト。最も重視するのは、4コママンガなどを説明させる課題で、文章作成と説明の能力をみるという。

 


新指導要領と国語の入試問題~その傾向と対策~

中学校では、新指導要領による授業がこの春から開始されています。さて、新指導要領の国語では何が重要視されているのでしょうか。そのポイントは、次の3点にあると考えます。

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1 言語活動の重要性

これまで「留意事項」としてあった「言語活動」が「必須・重要」となりました。

つまり、課題について調べたり、自分の意見を文章として表したり、自分の活動を文章として表すことが「必須・重要」となったのです。さらに、「物事の良さを多くの人に伝えるための文章を書くこと」も追加されています。

2 「交流」についての指導事項の追加

1で書いている「自分の意見」や「報告」を表すだけでは無く、他の人の感想を聞き合ったり、報告し合ったりすることも指導事項として追加されています。

3 伝統的な言語文化に親しむ

日本語の特徴や良さを理解したり、古文や漢文の指導の充実が上げられています。

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すると、こうした新指導要領の内容が入試に反映するとどうなるのか、具体的に、奈良県と埼玉県の公立高校の入試問題を見ていきたいと思います。

平成24年 奈良県立高校の国語の入試問題

春香さんは、次の□内のように学校新聞の記事を書いた。

(次の「 」内の文章が□内)

「バスケットボール部は、二月二十日に行われた地区大会で、創部以来初の三連覇を達成した。

決勝戦では序盤から着実に得点を重ね、終盤までリードを保って、48対30と危なげなく勝利した。校長先生は、「三連覇はすごい。みんなの努力が実を結んだ」とたたえた。

田中陽一主将(二年一組)は、「結果はもちろん、冬の練習を乗り越えたチームの成長を感じとれたことがうれしい。これに満足することなく、次は、今まで優勝経験のない春の県大会を制したい」と力強く語った。」

そして、記事の内容をもとにねらいの異なる次の二つの見出しを考えた。

A バスケ部、新たな歴史を刻む!

B バスケ部、春にも歴史を刻め!

このA,B二つの見出しからどちらか一つを選んでその記号を書き、あなたの選んだ見出しには、どのようなことを伝えようとするねらいがあるか、記事の内容にふれながら書け。

 

さて、まず「問題」はどこに書いてあり、何を問うているのか、しっかりと読まないと理解できない生徒も多いのではないかと思います。

これは、2つの見出しから1つ選び、そのことによって何を伝えようとするのか、自分の意見を書く問題です。さきの新指導要領の内容からいうと、1の「意見」をしっかりと表すことができるのかを見る問題ということができるでしょう。

さらに、平成24年の埼玉県立高校の入試問題も見ておきます。

 

次の意見A~意見Dは、「日常生活の中で、言葉の使い方はどうあるべきか。」という質問に対する意見です。この四つの意見をもとに、「日常生活の中での言葉の使い方」というテーマで意見文を書くことになりました。

この四つの意見A~意見Dの中からあなたの考えに近いものを一つ選びなさい。また、そう考える理由も含めて、あとの(注意)に従って、あなたの意見を書きなさい。なお、解答用紙(2)の指示された空欄に、選んだ意見の記号を書き入れなさい。

意見A 書き言葉も話し言葉も、正しく整えて使うべきだ。

意見B 書き言葉も話し言葉も、細かいことは気にしなくてもいい。

意見C 話し言葉では細かいことは気にしなくてもいいが、書き言葉は正しく整えて使うべきだ。

意見D 書き言葉では細かいことは気にしなくてもいいが、話し言葉は正しく整えて使うべきだ。

(注意)

(1) 段落や構成に注意して、自分の体験(見たこと聞いたことなども含む)をふまえて書くこと

(2) 文章は、十三行以上、十五行以内で書くこと。

(3) 原稿用紙の正しい使い方に従って、文字、仮名遣いも正確に書くこと。

(4) 題名・氏名は書かないで、一行目から本文を書くこと。

 

先の奈良県立高校入試問題もこの埼玉県立高校の入試問題もそうですが、何を選ぶかで正答を出させる問題ではありません。一般的に国語問題といえば、「次のア~エのなかから適当な選べ」とあったら、答えは1つであり、まったくの勘でやっても1/4の確率で正解します。しかし、こうした形式の入試では、Aを選ぼうがBを選ぼうが、まったく自由で、どちらが正しいということではありません。問題は、選んだ選択肢について、「相手を説得させるだけの理屈と文章能力」が問われているわけです。そして、さらにいうと、国語力のない子どもは、そもそもこの問題文を理解し、解答を導き出すことすらむずかしいのではないかと思われます。

また、埼玉県の問題では、注意(1)として「自分の体験をふまえて」意見を書けとしてあり、日常からいろいろな問題意識を持って、意見形成することが問われています。限られたわずかな時間の中で、問題をサッと読み理解し、「体験をふまえて」自分の意見を書くことなどなかなかすぐにできることではありません。まさに日常生活のあり方が問われているといえます。

こうした入試問題をしっかり解いていくためには普段から「なぜか」ということを自分で表現できる練習が必要です。

たとえば、家族で食事に行き、食べたいものを決めるときでも、「誰かが決めたから、私も」ではなく、「これを食べたい、なぜなら~」と自分の意見を持ち、その理由をつねに考えるようにしていけば、少しでも練習になるのではないかと思います。

私たちは、つい「長いものに巻かれてしまう」ことが多々ありますが、今後、ますます国際化が進んでいくことを考えても、しっかりと自分の意見を展開する練習を子どものうちからしておいた方がよいのかも知れません。

photo by: dani0010

高校でも「脱ゆとり」~~学力重視へ

いよいよ2012年春、今年から中学校では「脱ゆとり」が完成します。私は、いわゆる「白表紙本」を見たことがありますが、なかなか内容もハードになっております。

以前にも書きましたが、この「脱ゆとり」は、これからの日本の社会を支えていく若い人を幅広く作らないといけないという、政府の危機感から来ていると、私は思っています。ですので、当然のことながら、「脱ゆとり」教育は、中学校だけではおさまりません。『毎日新聞』のサイトで、以下のような記事がありました。

重要なところで言うと、数学で27%増、英語で25%増、理科で17%増と、英語教育と理系教科に重点が当てられて、大幅に教科書内容が増加していることが特徴です。取り分けても、今後高校英語では、日本語を使わない授業がおこなわれる予定であり、ますます国際化が進む中で、英語を使いこなせる若い人を作るという目標の表れですし、また、理系教科の教科という点では、資源の乏しい技術国日本としては、理数系の優れた人材がほしいというあらわれであると考えます。

いずれにしても、現在、中学生においては、しっかりと中学校で学習を積み、高校で習う内容が大幅に増えたとしても、何ら困ることないような学力を養っていく必要があります。

高校教科書:ページ数増加で学力重視 検定結果公表

文部科学省は27日、来春から主に高校1年生が使う教科書の検定結果を公表した。教育内容を増やした新学習指導要領に基づいた教科書で、現行の教科書(11年度供給)と比べたページ数は全教科平均の合計で12%増となった。教育内容を絞り込んだ99年の指導要領に基づく05年度供給分に比べると16%増で、小中学校に続き高校でも学力重視の教科書に塗り替わった。

今回の検定には、高校の共通と専門を合わせた17教科について、36社から275点の申請があり、274点が合格。不合格は理科の新科目「科学と人間生活」の1点。共通教科で合格した218点について、文科省が記述の不備を指摘した検定意見は計7743件だった。今春から先行実施される数学と理科の一部教科書は10年度に検定が済んでいる。

教科別の1点当たりの平均ページ数は、数学206ページ(11年度供給分比27%増)▽英語154ページ(同25%増)▽理科650ページ(同17%増)--など増加が目立った。数学と理科は、理数教育の充実に伴い復活や新たに盛り込まれた内容が多く、英語は指導する単語数が1300語から1800語に増えたことなどが理由とみられる。

東日本大震災については、地理歴史と公民を中心とした53点に記述があり、このうち16点が津波を記述。東京電力福島第1原発事故も16点が記し、7点が放射能にも言及した。今回は申請時期が5~6月と、震災発生の3月から間がなく、年表に追加する程度の教科書が多かった。検定済みの教科書でも事情の変化などによる内容の修正は可能で、今後の訂正申請が見込まれる。【木村健二】


【シリーズ教科書改訂4】小学校教科書はどうなったか


中学校の教科書は、2012年に教科書改訂が完了いたしますが、小学校では、今年2011年に改訂がおこなわれ、すでに小学生をお持ちのご家庭では「厚くなった」教科書をお持ちのことと思います。
算数で33%ほど内容が増え、理科では37%もの内容が増えております。
さて、理科と社会に関しては、ほぼ同じ内容を中学校で繰り返しますので、割愛させていただきますが、「積み上げ」の教科として算数のことを書かせていただきます。
算数はかなりの分量になりました。では何がどう増えたのでしょうか。
基本的には、小6以外は、これまで上の学年で習っていたものが下りてくる形になっています。従いまして、保護者の方が見られても、「厚さ以外に変化がない」と思われているかもしれません。しかし、習う学年が1~2年下がるというのは、子どもたちにとっては大変なことです。
とりわけ、小学生では、成長著しいですが、逆に言うと、1年の差はとても大きいものがあります。理解力などを取ってみても、いままで5年生が理解していたものを4年生に理解させるとなると、じっくりと時間をかけ、演習量もそれなりに取っていく必要が生じてきます
しかし、実際には、学校での学習時間が増えたとはいえ、教科書の増加ほどではなく、小学生であっても(中学受験しなくても)しっかりと家庭学習をしていく必要があります。
また、これまで小6でやっていた内容のかなりの部分が小5へ回されたことにより、小6では様々な新しい内容が付け加えられております。これまた、きちんと理解していくためには、学校の授業をちゃんと聞くことにくわえて、ご家庭でのさらなる学習が不可欠となります。
家庭学習のコツとしては、復習をしっかりとおこなうことにつきます。まず、第1に学校で習ったことをしっかり理解しているか確認すること、第2に、学校でやった演習などで間違えたところをもう一度やり直すこと、さらに余裕があれば、問題集を1冊買って演習量をふやすことができれば合格ではないでしょうか。このとき、問題集は解説がちゃんと載っていて、自分で勉強できるものにしてください。○だった×だった、ではまったく意味がありません。なぜ、×なのか、あるいはなぜ正解したのかというのが、大切な勉強になります。
また、予習ですが、習い事などで忙しいようであればさほど重視する必要はありません。大事なことは、習ったことをきちんと理解していくという作業になります。もし、「いや、予習もさせたい」ということであれば、国語の予習をさせてください。《1》教科書の音読をする、《2》新しく出てきた漢字や言葉を調べる、この2点で充分だと思います。もちろん、予習に手間をとって、復習ができないなんてことは絶対に避けなければなりません。
また、はなまるゼミナールでは、算数・国語は週に2回づつおこないます。1週間に2回づつ授業することにより、少しづつ確実に理解できるようにしております。基礎をしっかりと固めた上で、さらに、中学や高校へ進学したときのことを考えて、応用を加えております。
小学校の授業でちょっとつまづいているという方は、是非一度お越しください。1週間の体験授業でおわかりいただけるのではないかと思っております。


【シリーズ教科書改訂3】授業時間の変化

 

 

2012年から、それまでのゆとり教育を脱して、大幅に教科書のページ数が増え、内容が拡大されることをお伝えしました。
では、授業時間はどう変化するのでしょうか。

これまで、ゆとり教育の中で重視されてきた「総合」の時間はかなり削られ、主要5科を含め教科授業の時間は大きく増えます。

上記の表は、5教科の3年間の授業時間数の変化です。英語と理科が1・3倍、数学と社会は1・2倍、国語は1・1倍へと授業時間が増えることになります。

しかし、先の記事に書いたように、教科書のページ数の増加の割合よりも少ないことに注意を払う必要があります。つまり、それは授業スピードが増加することを示しています。

ただ、下のグラフ(クリックで拡大します)にあるように、これまでは、中1で560時間おこなっていた5科授業を、中3では480時間と学年が上がるに従って減らしてきたのですが、今回の指導要領改訂では、中1で630時間、中3では665時間と、学年が上がると授業時間を増やしています。学年が上がるに従い、内容は当然深くなるわけですから、時間がかかって当然ですので、こうした時間配分は正当なものではないかと思います。しかし、それでも1回の授業における内容がこれまでより多くなることは言うまでもないですし、これから中学生は「学年が上がれば学校での勉強時間が増える」ことを意識しておかなければならないと思います。

このように、教科書のページ数や内容の増加ほどではありませんが、授業時間数も増加します。

しかし、注意すべきは、教科書の内容が増え、授業時間数が増えたからといって、子どもの学力が自動的に上がることはありません。当然、子ども自身がしっかりと学校の授業を聞いて、きちんと復習していかなければ、まったく意味がないのです。むしろ、それどころか、1回の授業で学ぶ内容が濃くなるということは、それだけ「勉強する子」と「勉強しない子」との差が拡大することになります。

また、先にも書きましたが、差が広がるスピードが早くなることも注意すべきです。あっという間に、差が広がり、どうしようもなくなったということがないよう、細心の注意が必要です。
まとめると、

《1》 教科の内容、学習時間が大幅に増える

《2》 内容が深まった分の学習を、学校外でおこなう必要がある

《3》 量が増えスピードが速くなる分、しっかり勉強しないと、あっという間についていけなくなる

現在、小6と中1のお子さまの保護者の方々には、ぜひお子さまの学習状況をしっかりと観察していただきますようお願いいたします。

 

 


【シリーズ教科書改訂2】教科書のページ数の大幅増!

2009年から、数学と理科をメインにして、少しづつ教科書内容が変わっておりました。小学校では、2011年に教科書改訂は完了いたしましたが、中学では来年2012年に教科書の全面改定がおこなわれます。

この改訂は、とても大きなものです。2002年に始まった「ゆとり教育」を大きくひっくり返すものであり、油断をしていると大変なことになります。

 

(1)教科書の全面改定

まず、特徴的なのが、教科書が大幅に変更されることです。保護者の皆様には、お子さまの教科書を見られて、こんなことを感じたことはなかったでしょうか。

「教科書がうすいなあ」「なんだか、字が少なく、絵ばかり」「内容が中途半端じゃないの」

こうしたことが一気に打ち消されます。具体的には、5教科の教科書は2006年の時と比べて、平均で1.3倍のページ数になります。

上記のグラフ(クリックしていただくと大きくなります)は、現行教科書と来年からの教科書のページ数の変化です。どの教科も、来年からかなりのボリュームに増えることが分かると思います。とりわけ、国語と数学、理科のページ数がかなり増えているというのが一目瞭然ではないでしょうか。

英語と社会は、1.2倍の増加、数学は1.3倍、国語と理科は1.4倍に増加します。さらに、数学と理科に関しては、演習問題も大幅に増え、数学は1.3倍に、理科は1.8倍に増加します。

このように、内容、演習問題ともに、大幅に増えるということは、子どもたちの学習時間も当然増えることになります。しかし、注意すべきは、授業時間も相応に増えるということはありません。1日6限授業が、8限になったり、9限になったりすることはあり得ないからです。

そうなってくると、内容の高度化と増加、演習問題の増加に伴った学習をどのようにしていけば良いのか。これがとても大切になります。

これまでは、学校の先生の話をしっかり聞いていることでやれたことでも、授業時間が増えていないのに、授業内容がふえることで、学校での授業が「ていねいな授業」→「おおざっぱな授業」へ変わる可能性があります。いずれにせよ、学校での学習時間が、教科書内容の増加ほどに増えなければ、その足りない分をどこかで学習する必要があります。家庭学習を大きく見直さなければなりません。

さらに、今回の指導要領の変更は、これまでの教科書内容の変化と全く異なることがあります。それは、「下限規定」です。

これまでの指導要領では、授業内容の「上限規定」が定められていました。何かというと、これ以上は教えてはならないという「上限」が定められていたのです。したがって、学校では基本を学習し、塾では応用を学習するという「役割分担」のような関係がありました。しかし、今回の指導要領では、最低これだけは教えなさいという「下限」が定められ、それ以上のことを教えてもいいというようになったのです。このことで、教科書は、「下限」+多くの応用を教科書に載せ、ページ数が大幅増となっているのです。

では、学校の授業はどうなるのでしょうか。

私は、ここに大変危惧いたします。文部科学省が指定する「下限」を守り、応用を飛ばす学校がどれほど存在するのでしょうか。教科書に載っていれば、とりあえず「全部」学習しようとするのではないでしょうか? 入試も気になります。教科書に載っているのであれば、入試問題に載せてもいいことになります。すると、学校で規定された「下限」しか勉強していなければ、入試問題ができないことになります。
こう考えると、中学校は、教科書に載っている内容は、ていねいさはともかく、ひととおりやろうとするでしょう。そして、そうなれば、本当に授業が間に合わなくなります。すると、ゆっくりにしか理解できない子どもはどうなるでしょうか。置いてけぼりになる可能性が大きくあると、私は大変危惧します。

(2)教える側から見るとどうか

大幅に授業内容が増加するわけですが、教える側からするとどうかということがあります。

このように、これまでの2割増しや3割増しの内容を教えようとすると、教え方がかなりこなれていないと「わかりにくい」説明、「下手な」説明になってしまいます。とりわけ、注意すべきは20代の若い先生です。自身もゆとり教育下で育ってきた先生であれば、今回の大幅増の内容は、実は今まで「教えたことがない」のみならず「習ったこともない」可能性が出てきます。

ただでさえ、生徒からすると、勉強の内容が増え難しくなり、大変な上に、先生の説明もこなれていないというのであれば、本当に大変です。実際、こなれた解説をするためには、やはり研究し、試行錯誤しなければなりません。今後数年間、先生たちの試行錯誤が繰り返されることになります。

したがって、こうした意味においても、学校外での学習がかなり重要になってきます。


【シリーズ教科書改訂1】2012年、中学教科書が大きく変わります!

2008年から、教科書改訂の移行措置が続けられてきましたが、中学教科書は来年2012年に大きく変わります。ちなみに、小学教科書は、今年2011年に大きな変更を伴いました。

さて、今回の大幅変更には、どういう狙いがあるのでしょうか。

この変更には、昨今問題になっている学力低下問題がとても大きく作用しています。とりわけ、政府・文部省が問題にしているのが、国語、数学と理科です。

世界の先進34カ国が、自国の15才の生徒を対象に実施しているテスト=PISAで、日本の生徒の成績が調査するたびに下がってきているのが明らかになったのです。第1回(2000年)の調査で、数学的リテラシー第1位(先進34カ国中)、科学的リテラシー第2位、読解力第8位だったものが、第2回(2003年)調査では、数学的リテラシー6位、科学的リテラシー2位、読解力14位に順位を落とし、第3回(2006年)調査では数学的リテラシー10位、科学的リテラシー6位、読解力15位と3年連続、成績が悪くなったのです。

このことは、国土が狭く、資源が少ないが、技術大国としてこれまでやってきた歴史を揺るがすものとして受け止められたのです。とりわけ、理数教科の下落は将来の技術者育成という意味でもたいへんなマイナス面です。

読解力がたいへん低いにも関わらず、2008年からの移行措置では数学と理科の大幅な内容増というのはこうした背景の結果です。

そして、2012年には、新指導要領下の本格的な授業がスタートします。来年から、国語、数学、理科の教科書は大幅に内容が増えます。どの子どもにも、かなりの負担がかかることはいうまでもありません。負担が増えるだけならまだいいのですが、ついていけなくなる子どもが増えるついて行けなくなるまでのスピードが加速するなど、気がつけばあっという間に周りの子どもと比べ差が広がっていたなんて事があるかもしれません。たいへん危惧するところです。

すでに、小学校では新指導要領下で、「脱ゆとり」のカリキュラムが始まっていますが、学校での内容が濃くなるに従って、「授業をきちんと聞く」だけではついて行けなくなってきます。学校以外での学習が必要となってきます。

次からは、どのように変わっていくのか、具体的に明らかにしていきます。